
6. 平成6年頃から現在までパブル崩壊から高度情報化時代へ (1) 時代背景 日本経済の実力以上に膨れ上がったバブル景気も、平成6年に崩壊し一転不況の波が日本を襲った。一方、企業をはじめとして家庭にまでパソコン等情報通信関連機器が普及し、高度情報化時代が到来した。 このような時代の動きのなかで、高齢化・少子化は一層進展してきており、労働市場をはじめ社会の各方面に、確実に影響を及ぼし始めている。 また、平成7年1月には、阪神・淡路大震災が発生し、多くの貴重な人命が失われた他、地域経済や労働市場に多大な影響を及ぼした。 (2) 労働移動の状況 大都市圏への人口流入減少傾向は、引き続き減少基調を持続し、平成5年には、東京圏への転入超過はストップし、平成6年から、ついに転出超過に転じた。これは、東京圏への転入数の減少と、転出数の増加の両要因によるものとみられ、不況に伴うUターン志向の高まりの現れと言える。 地域間労働移動にも、平成6年辺りから沈静化傾向がみられた。これは、昭和60年代以降の自治体のUターンヘの取組みが、本格化・充実化してきたこととともに、その効果が着実に現れてきたこと、また、地元企業が少子化等による労働力不足への対応として、積極的なUターン労働力確保に企業をあげて取り組んできたこと、さらに、労働者側の意識として、通勤難等の労働環境や住宅難等の生活環境が劣悪な東京圏での諸条件に見切りをつけて、Uターンをめざす方向に切り換える人々が増えてきたこと等さまざまな要因が相互に影響を及ぼしあった結果であるといえる。 (3) 政策的対応 政府側の対応としても、国土審議会が、地域の連携・自立による多様性に富んだ分散型国土の形成、地域連携の促進と新しい広域交流圏の形成による地域自立の基礎づくり等をめざしたポスト四全総の策定準備を進めているところであるが、行政の在り方も、国と地方の役割の見直し、権限の地方委譲、規制緩和をはじめ、更なる地方分権の推進方策の検討が地方分権委員会で行われているところである。 雇用の分野においても、さまざまな規制を緩和し、民間の活力を生かした労働市場の形成を支援していくことが、これからの政策方向として重要であり、このため多様な雇用形態に対応した失業者を出さない弾力的な雇用システムの構築をめざしている。 人材地方還流促進策に関しても、前項の各施策に加え、双方向テレビシステムによる遠隔地面接会等を平成7年度から開始し、情報化時代に対応したリアルタイムの情報提供や職業紹介が推進されている。
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